2025.02.17
空き家の3,000万円控除とは?適用条件や手続き方法を徹底解説!

空き家を売却するなら「3,000万円控除」を活用しよう!
空き家を相続したものの、「管理が大変」「活用する予定がない」などの理由で売却を考えている方も多いでしょう。
しかし、売却時には譲渡所得税が発生するため、「税金が高くなるのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。
そんなときに活用できるのが、「相続空き家の3,000万円控除」の特例です。
この制度を利用すれば、売却益(譲渡所得)から最大3,000万円を控除できるため、税負担を大幅に軽減できます。
ただし、この特例を受けるためには、適用条件や申請手続きを正しく理解しておくことが重要です。
要件を満たしていないと、控除を受けられずに余分な税金を払うことになりかねません。
本記事では、空き家の3,000万円控除の仕組みや適用条件、申請方法について詳しく解説します。
売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
空き家の3,000万円控除とは?
「家族から相続した空き家を売ったら、税金がすごくかかるんじゃない?」
そんな心配を減らしてくれるのが 「空き家の3,000万円控除」 という制度です。
1. そもそも「税金」ってどういうこと?
土地や建物を売ったとき、売った金額から元の購入価格などを引いた「利益(譲渡所得)」に対して税金がかかります。
たとえば…
1,000万円で買った家を3,500万円で売った場合
→ 利益(譲渡所得)は 3,500万円 – 1,000万円 = 2,500万円
この 2,500万円に税金 がかかるんです!
2. 3,000万円控除があるとどうなる?
この制度を使うと、利益から最大3,000万円を引くことができます!
利益が2,500万円の場合
→ 2,500万円 – 3,000万円 = 0円(税金ゼロ!)
利益が3,500万円の場合
→ 3,500万円 – 3,000万円 = 500万円(500万円にだけ税金がかかる)
つまり、売却益が 3,000万円以内なら税金ゼロ になるし、3,000万円を超えても税金が少なくてすむ、という制度なんです。
3. どうしてこんな制度があるの?

日本には、空き家がどんどん増えているという問題があります。
放置された空き家は危険だし、景観も悪くなるし、近所の人にとっても困ることが多い…。
そこで、「相続した空き家を売る人の税金を軽くして、売りやすくしよう!」 というのがこの制度の目的なんです。
空き家の3,000万円控除の適用条件
1981年5月31日以前に建てられた住宅であること
この制度が適用されるのは 「旧耐震基準」 の住宅です。
▶ 旧耐震基準とは?
日本では 1981年6月1日 に耐震基準が改正され、それ以前の建物は現在の基準よりも耐震性が低いとされています。
そのため、この制度は 1981年5月31日以前に建てられた住宅 に限定されているのです。
▶ 建物の建築年を確認する方法
・「登記簿謄本(登記事項証明書)」や「固定資産税の納税通知書」に建築年月が記載されています。
・わからない場合は、市役所や法務局で確認できます。
相続開始時に亡くなられた方が一人で住んでいたこと
この控除は 「相続した空き家を売る人」 のための制度です。
そのため、 亡くなった方が一人暮らしをしていた家 であることが条件となります。
▶ 適用されるケース
✅ 親が一人で暮らしていた実家を相続した場合
▶ 適用されないケース
❌ 亡くなった方と 誰かが一緒に住んでいた場合(子どもや親族が同居していた場合など)
❌ 亡くなる前に 誰かに貸していた場合(賃貸物件として貸し出していた場合など)
この条件を満たさない場合、3,000万円控除を受けることはできません。
相続後、売却するまで空き家のままであること
相続した後、その家を 誰かが使ってしまうと適用外 になります。
たとえば、次のような場合は 控除を受けられません。
❌ 自分や親族が住んでしまった場合
❌ 賃貸として貸し出した場合
つまり、 「相続した後は、そのままの状態で売ること」 が大切です。
売却価格が1億円以下であること
この特例は 売却価格が1億円以下の場合 に適用されます。
もし、1億円を超えるような 高額な土地や住宅 を売る場合は、3,000万円控除を受けることができません。
売却予定の不動産の価値を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。
更地にするか、耐震リフォームを行う
相続した家を売るとき、次の どちらかの方法 を選ぶ必要があります。
▶ 方法① 建物を解体し、更地にして売る
建物を解体して 更地(空き地) にすれば、そのまま控除を受けられます。
ただし、解体費用がかかるため、事前に費用を確認しておくと安心です。
▶ 方法② 耐震リフォームをして売る
もし 建物を残したまま売りたい場合 は、耐震基準を満たすためのリフォームをする必要があります。
専門の業者に耐震診断を依頼し、必要な工事を行いましょう。
3,000万円控除を適用するための手続き方法

相続した空き家を売ったときに 「3,000万円控除」 を受けるには、 確定申告 をしなければなりません。
確定申告とは、 税金を計算して、税務署に報告する手続き のことです。
では、この特例を受けるためには どのような手続きが必要なのか、 2つのステップ に分けて詳しく説明します!
1. 必要な書類を準備する
確定申告をするためには、次の 5つの書類 が必要になります。
① 売買契約書の写し(売った金額を証明する書類)
家を売るときに 買主と交わす契約書 のコピーです。
これがないと、 いくらで売れたのか証明できない ため、必ず用意しましょう。
② 耐震基準適合証明書 または 除却証明書(建物をどうしたか証明する書類)
家を売る前に、
✅ 耐震リフォームをした場合 →「耐震基準適合証明書」が必要
✅ 更地(空き地)にした場合 → 書類は不要(ただし「除却証明書」があると安心)
「耐震基準適合証明書」は リフォームをした業者 に、
「除却証明書」は 家を解体した業者 に発行してもらえます。
③ 相続関係を証明する書類(誰が相続したのか証明する書類)
「戸籍謄本(こせきとうほん)」などを提出します。
これは、 親などから正式に相続したことを証明するため に必要です。
戸籍謄本は 市役所や区役所 で取得できます。
④ 亡くなった方が一人で住んでいたことを証明する書類
「住民票の除票(じょひょう)」を提出します。
住民票の除票には、 亡くなった方の最後の住所 が記載されているため、
「この家に一人で住んでいた」という証明 になります。
これも 市役所や区役所 で取得できます。
⑤ 確定申告書と譲渡所得の内訳書(税金の申告書類)
「確定申告書B」と「譲渡所得の内訳書」を作成します。
これらの書類は、 税務署のホームページ からダウンロードできますし、
税務署に行けば用紙をもらうこともできます。
また、 パソコンやスマホで確定申告をする ことも可能です。
2. 確定申告を行う
▶ 申告の期間は?
確定申告は、 家を売った翌年 の 2月16日~3月15日 の間に行います。
(例)2024年に家を売った場合 → 2025年2月16日~3月15日 に申告
この期間を 過ぎてしまうと控除を受けられない ことがあるので、
忘れずに手続きをしましょう!
▶ 申告の方法は?
確定申告は 3つの方法 から選べます。
✅ ① 税務署に行く
税務署の窓口で 必要書類を提出 し、申告を行います。
わからないことがあれば、税務署の職員が教えてくれます。
✅ ② インターネットで申告する(e-Tax)
パソコンやスマホから 「e-Tax(イータックス)」 を使って申告できます。
自宅で手続きできるので、忙しい方におすすめです。
✅ ③ 郵送で提出する
必要書類をすべてそろえて 税務署に郵送 することも可能です。
ただし、 申告期限までに税務署に届くように送ることが大切 です。
3,000万円控除を活用する際の注意点
この特例を適用する際には、以下の点に注意が必要です。
1. 期限内に売却する必要がある
相続発生(親が亡くなった日)から3年以内に売却しないと、この特例は適用されません。
売却を検討している場合は、早めに準備を進めましょう。
2. 他の特例との併用は不可
この特例は、居住用財産の3,000万円特別控除や、軽減税率の特例とは併用できません。
他の制度とどちらが有利か比較しながら判断することが重要です。
3. 事前に不動産会社と相談するのがおすすめ
適用条件を満たしているかどうかは、不動産会社に相談するとスムーズです。
特に、更地にするかリフォームするかの判断は、専門家の意見を聞くことで最適な選択ができます。
【まとめ】空き家の3,000万円控除を活用して税負担を軽減しよう!
「空き家の3,000万円控除」は、親などから相続した空き家を売ったときに、最大3,000万円まで税金がかからなくなる 特別なルールです。
でも、この控除を使うには「次の5つの条件」を満たす必要があります。
✅ 1981年5月31日より前に建てられた家であること
✅ 亡くなった方が一人暮らしをしていた家であること
✅ 相続した後、誰も住まず、そのまま売ること
✅ 売るときの価格が1億円以下であること
✅ 家を壊して更地にするか、耐震リフォームをすること
さらに、この控除を受けるには 「確定申告」 をしなければなりません。
売買契約書や相続関係の書類をそろえて、家を売った翌年の2月16日~3月15日 に税務署で手続きをします。
この制度を使えば、余計な税金を払わずにすむので、空き家を売るときは忘れずに申請しましょう!