固定金利vs変動金利、結局どっちが得?選び方を徹底解説

住宅ローンで最も悩むのが「変動金利か固定金利か」の選択です。2026年に入り15年ぶりに変動金利が1%を超え、固定金利も2.5%前後まで上昇した今、従来の「とりあえず変動」という選び方は通用しません。本記事では最新データと具体的なシミュレーションをもとに、後悔しない選び方を徹底解説します。

2026年、住宅ローン金利環境はどう変わったか

2024年3月の日銀マイナス金利解除以降、3回の追加利上げによって政策金利は0.75%まで上昇しました。2025年12月の追加利上げを受け、2026年4月には多くの金融機関が変動金利の基準金利を引き上げ、優遇後の変動金利は0.9〜1.1%台が中心となっています。これは実に15年ぶりの1%超えです。一方、長期金利(10年国債利回り)に連動する固定金利はさらに先行して上昇しており、フラット35は2026年4月に2.49%と前月比+0.24%の大幅上昇を記録しました。

2021年頃と比較すると変化は歴然としています。変動金利は当時0.3〜0.5%程度で推移していたのが現在は0.9〜1.1%台へ、10年固定は1.0〜1.3%から2.5〜3.0%台へ、フラット35は1.29%前後から2.49%へと、いずれも約1.0〜1.5%上昇しました。借入額3,000万円・35年返済で換算すれば、総返済額にして数百万円単位の負担増となる水準です。

重要なのは、変動金利と固定金利が「別々の指標」に連動している点です。変動金利は日銀の政策金利(短期プライムレート)に連動し、固定金利は10年国債利回りに連動します。固定金利は市場の動きに素直に反応して先に上がり、変動金利は銀行間の優遇競争によって遅れて動く構造です。つまり「変動金利が上がってから固定に借換えればいい」という戦略は、借換え時点で固定金利がさらに高くなっており成立しません。エコノミスト調査では2026年末までに政策金利が1.0%前後まで上昇する見通しで、変動金利にも追加の上昇圧力がかかります。「金利は下がって当然」の時代は完全に終わり、「金利はある程度あるもの」を前提に判断する局面に入ったと言えます。

数字で見る「どっちが得か」の実態

感覚論ではなく具体的な数字で比較してみましょう。借入3,000万円・35年返済・元利均等の条件で試算すると、変動金利0.9%が完済まで変わらなければ月々約8.4万円・総返済額は約3,511万円です。一方、固定金利2.5%の場合は月々約10.7万円・総返済額約4,500万円となり、固定を選んだ時点で約989万円多く支払う計算になります。

では変動金利が途中で上昇したらどうなるのか。借入当初0.9%で6年目に1.9%へ上昇し、その後完済まで変わらないと仮定すると、総返済額は約4,100万円で固定より約400万円少なく済みます。しかし6年目に2.9%まで上昇した場合、総返済額は約4,550万円となり、固定より約50万円多くなります。

この試算から見えてくるのが「金利差1.5%ルール」です。2026年4月時点の変動と固定の金利差は約1.5%であり、変動金利が1.5%以上上昇してその状態が完済まで続くなら固定金利が有利、そうでなければ変動金利が有利という計算になります。現時点の見通しでは政策金利が1.5%以上上昇する可能性は高くないため、純粋な「損得」だけで言えば変動金利が有利な局面が続くと予想されます。ただしこれは「金利予測が当たれば」の話で、予測が外れた場合のリスクをどう評価するかが判断の分かれ目です。

もう一つ注目すべきは「変動金利の5年ルール・125%ルール」の実態です。多くの金融機関では金利が上昇しても5年間は返済額が据え置かれ、見直し時も前回の1.25倍までしか増えません。これは一見安心な仕組みですが、金利上昇分の支払いが免除されるわけではありません。据え置かれた期間中は元本の減りが遅くなり、返済額が利息を下回ると「未払利息」が発生します。未払利息は完済時に一括請求されるケースもあり、長期で見るとむしろ総返済額が膨らむ落とし穴です。さらに一部のネット銀行はこのルールを採用していないため、契約前の確認が必須です。

後悔しないための4つの判断軸

「どちらが得か」だけで選ぶと必ず後悔します。長期にわたる返済を無理なく続けるため、以下の4つの軸で総合的に判断してください。

軸1:金利が2%上がっても返せるかで家計耐性を測る

変動金利を選ぶ際の最重要チェックです。現在の金利より2%高い水準で試算し、その返済額でも家計が持つかを確認してください。借入3,000万円の場合、金利2%上昇で月々の返済額は約2.8万円増え、35年間の総返済額では約1,200万円増加します。この負担に耐えられない資金計画なら、変動金利はリスクが高すぎます。特に返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)が25%を超える借入の場合、金利上昇耐性は極めて低いため固定金利を推奨します。

軸2:教育費ピークとの重なりを避ける設計

最も危険なシナリオは、子どもの高校・大学進学による教育費ピークと金利上昇による返済額増が同時期に重なることです。30〜40代で借入した場合、子どもが高校〜大学生になる10〜15年後がこのリスクゾーンにあたります。この時期に変動金利の見直しで返済額が上昇すれば、家計は一気に苦しくなります。子どもの年齢を逆算して返済額増のタイミングを想定し、ピーク期を乗り切れる設計になっているかを必ず確認してください。教育費と返済額増が重なる可能性が高いなら、全期間固定または固定期間選択型で防衛するのが合理的です。

軸3:繰上返済できる余力の有無

変動金利の最大の武器は、金利上昇局面で繰上返済により元本を減らし利息負担を抑えられる点です。逆に言えば、繰上返済する余力がない家計にとって変動金利のメリットは半減します。目安として、借入額の10〜20%程度の繰上返済資金を別途確保できる見通しがあれば変動金利の適性があると言えます。固定金利との差額(月々2万円前後)を毎月貯蓄や投資に回し、金利上昇時に投入する「自衛策」をセットで実行することが前提です。単に「月々の支払いが安いから」で変動金利を選ぶのは危険です。

軸4:心理的負担への耐性

見落とされがちですが重要な軸です。変動金利は半年ごとに金利見直しがあり、金利ニュースのたびに「次の見直しで返済額はどうなるか」を気にし続けることになります。数字上は変動金利が有利でも、金利動向に一喜一憂して精神的に疲弊するタイプの人には不向きです。固定金利は完済まで返済額が確定しているため、市場金利に関係なく安心して生活設計を立てられます。数百万円の総返済額差を払ってでも「安心感」を買う価値があると考える人は、迷わず固定金利を選ぶべきです。どちらに振り切れない場合は、借入額を変動と固定に分ける「ミックス返済」(例:変動6割・固定4割)でリスク分散するという選択肢もあります。

よくある質問

今から借りるなら変動と固定どちらが主流ですか

国土交通省の調査では新規契約の約84%が変動金利を選択していますが、2025年以降は金利上昇局面を受けて固定金利への関心が急増しています。ただし「主流だから安心」という判断は危険です。変動金利が主流なのは過去の超低金利時代の名残であり、これからの金利環境で同じ結論になるとは限りません。周囲の選択ではなく、自身の家計耐性と将来設計で判断することが重要です。

途中で変動から固定に借換えできますか

借換え自体は可能ですが、現実的には難しいケースが多いです。諸費用(保証料・事務手数料・司法書士報酬など)で30〜100万円かかるうえ、借換えを検討する時点では固定金利がすでに上昇している可能性が高いためです。「いざとなったら固定に借換えればいい」という戦略は、金利上昇局面では機能しません。借入時点の選択で完済まで乗り切れるかを基準に判断してください。

変動金利を選ぶなら何を準備すべきですか

3つの準備が必須です。第一に借入額の10〜20%程度の繰上返済資金、第二に金利2%上昇時でも家計が破綻しない余裕ある借入額、第三に固定金利との差額を投資や貯蓄に回す「自衛策」の実行です。この3つを揃えられないなら、変動金利の低さは「見かけの安さ」に過ぎず、実質的には固定金利のほうが安全な選択になります。

まとめ

2026年4月の金利差は約1.5%、この差を超える上昇が続かない限り変動金利が有利。ただし変動金利の適性は「金利2%上昇でも返せるか」で測るべきであり、5年ルール・125%ルールは未払利息リスクを含む仕組みである点も見逃せません。教育費ピークと返済額増の重なりを避ける設計、繰上返済余力、心理的耐性まで含めて総合判断することが後悔しない選択につながります。

住宅ローン選びは「得か損か」ではなく「完済まで無理なく返せるか」で決めるものです。ご自身の家計状況に合った最適な選択について、お気軽にご相談ください。


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