2025.01.24
空き家の法律改正とは?改正したポイントを徹底解説!

空き家問題が全国的に注目される中、2023年12月13日に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が一部改正・施行されました。
これにより、空き家の管理義務が厳格化され、適切な活用を促進する新たなルールが導入されています。
たとえば、放置された空き家が「管理不全空家」に指定されると、固定資産税の優遇が解除されるなどの影響があります。
このような改正点に戸惑う空き家所有者も多いかもしれません。
本記事では、今回の改正内容をわかりやすく解説し、空き家を所有している方がどのような対応をすべきかについて具体的にお伝えします。
適切に対応することで、トラブルを回避し、地域の安全と景観を守ることができます。
さっそく、空き家の法律改正の背景と改正内容について詳しくみていきましょう。
空き家の法律改正の背景とは?
2023年の法律改正は、空き家問題の深刻化に対応するために行われました。
背景には、人口減少や高齢化の影響で空き家が増加し、社会的な課題となっている現状があります。
まず、放置された空き家が地域に与える影響についてです。
老朽化した建物が倒壊の危険をはらむだけでなく、景観を損ねたり、不法侵入や犯罪の温床となったりすることがあります。
このような空き家が増えることで、地域住民の生活環境が悪化してしまうのです。
さらに、行政も大きな負担を抱えています。
自治体が空き家対策にかかる費用を負担するケースが増えており、これが財政の圧迫要因となっています。
このような問題を解決するため、法律改正が進められたのです。
次に、具体的に改正されたポイントについてみていきましょう。
空き家の法律改正の主なポイント
今回の法律改正では、空き家の管理と活用を促進するために、次の4つのポイントが新たに盛り込まれました。
1. 空家等活用促進区域の創設
市町村が指定する「空家等活用促進区域」において、空き家の用途変更や建替えを促進する特例措置が導入されました。
この区域では、建築基準法や都市計画法の一部が緩和され、空き家をより柔軟に活用できる仕組みが整備されます。
これにより、中心市街地や地域再生拠点で空き家の有効利用が進むことが期待されています。
特に、店舗や住居への転用が容易になることで、地域活性化が図られるでしょう。
2. 管理不全空家の新設
特定空家等に指定される前段階として、新たに「管理不全空家」というカテゴリーが設けられました。
これは、適切な管理がされておらず、将来的に特定空家になるおそれがある空き家を指します。
市町村長がこの段階で所有者に指導や勧告を行えるようになり、空き家の状態が悪化する前に対処することが可能となります。
この制度により、空き家の早期対応が促進されるでしょう。
3. 固定資産税の特例解除
管理不全空家や特定空家等に指定され、市町村から勧告を受けた場合、住宅用地特例が解除される可能性があります。
これにより、固定資産税の負担が大幅に増加する場合があります。
この措置は、所有者に適切な管理を促す効果を狙ったもので、空き家を放置し続けることのリスクを高めています。
4. 緊急時の代執行制度の創設
特定空家等が周囲に危険を及ぼす恐れがある場合、事前手続きを省略して行政が迅速に代執行を行える制度が設けられました。
これにより、災害や倒壊の危険がある空き家に対し、速やかに対応することが可能です。
このように、改正法では空き家問題の解決に向けた具体的な対策が強化されています。
次に、空き家所有者が取るべき対応についてお伝えします。
空き家の法律改正に伴う所有者の対応
法律改正を受け、空き家の所有者には次のような対応が求められます。
1つ目は、空き家の定期的な点検と適切な管理を行うことです。
これにより、管理不全空家に指定されるリスクを回避できます。
2つ目は、空き家の有効活用を検討することです。
たとえば、「空家等活用促進区域」に該当する場合は、地域のルールに沿った活用方法を考えるとよいでしょう。
3つ目は、専門家に相談することです。
空き家の状態や法的な対応について迷う場合、不動産会社や行政窓口などに相談することで、適切なアドバイスを得られます。
これらの対応を取ることで、空き家を地域の資産として活用し、トラブルを防ぐことができます。
法改正が空き家所有者に与える影響
空き家の所有者にとって、今回の法改正は管理責任をより厳格にするものとなっています。主な影響は以下のとおりです。
1. 管理義務の強化
改正法では、「管理不全空家」という新たなカテゴリーが設けられ、放置状態の空き家に対する行政の指導が早期に行われるようになりました。
これにより、所有者は定期的な点検や修繕を怠ることができなくなりました。
もし「管理不全空家」や「特定空家等」に指定された場合、行政から指導や勧告を受ける可能性があります。
このため、管理が不十分な場合には、所有者にとって大きな負担となるでしょう。
2. 固定資産税の負担増
改正法では、「管理不全空家」や「特定空家等」に指定され、勧告を受けた場合、固定資産税の住宅用地特例が解除されます。
これにより、税負担が大幅に増加する可能性があります。
従来、住宅用地としての固定資産税は課税標準額が1/6に軽減されていましたが、この特例が適用されなくなることで、税額が6倍になる場合もあります。
適切な管理を怠れば、財政的な負担が増えることになるのです。
3. 活用促進への期待
「空家等活用促進区域」の指定により、空き家の用途変更や建替えがしやすくなる特例措置が導入されました。
これにより、所有者は空き家を新たな事業や住居として有効活用する道が広がります。
一方で、区域内で活用が進まない場合には、地域のルールに基づいた活用が求められる可能性があるため、対応が必要です。
法改正が地域社会に与える影響
今回の法改正は、地域社会にも以下のような影響を与えると考えられます。
1. 安全性と景観の向上
管理不全な空き家が減少することで、地域の安全性や景観が向上することが期待されています。老朽化した建物が倒壊する危険性が低減し、地域住民にとって安心して暮らせる環境が整います。
また、空き家が犯罪の温床となるリスクが減ることで、防犯意識の向上にもつながるでしょう。
2. 地域活性化への期待
「空家等活用促進区域」の制度を活用することで、中心市街地や地域再生拠点で空き家を新たな事業や住居として活用する動きが進むことが期待されています。
これにより、地域の人口減少対策や経済活性化につながる可能性があります。
たとえば、空き家をリノベーションしてカフェやシェアオフィスに転用することで、新たな雇用や交流の場を生み出すことができるでしょう。
3. 行政負担の軽減
緊急時の代執行制度が導入されたことで、危険な空き家に迅速に対応できるようになりました。
これにより、行政が持つ空き家対策の負担が軽減され、他の地域施策に注力する余裕が生まれると考えられます。
空き家を活用する新しい区域をつくる仕事
今回の法改正で、「空家等活用促進区域」という新しい区域を自治体が指定できるようになりました。
この区域は、例えば商店街や地域の中心部など、空き家をお店や住宅に変えるのにぴったりな場所を指します。
自治体の新しい仕事はこんな感じです。
◉ 活用促進区域を決める
自治体は「ここを空き家活用促進区域にしよう!」と計画を立て、そのエリアで空き家が使いやすくなるようにします。
例えば、お店や住居に転用しやすいエリアを指定することで、空き家をもっと有効活用できる環境を整えます。
◉ 所有者を手助けする
空き家の所有者に対し、「どう活用するか」について具体的なアドバイスを行います。
さらに、建て替えやリフォームのための補助金制度を案内するなど、活用に向けたサポートを行います。
これらの取り組みを通じて、空き家をお店や住居として使う人が増えることが期待されます。
空き家の有効活用が進むことで、地域がにぎやかになり、暮らしやすい街づくりが実現するでしょう。
管理が足りない空き家への早めの対応
今回の法律改正で新たに導入された「管理不全空家」とは、現時点では大きな危険がないものの、放置すると老朽化が進み、壊れたり周囲に迷惑をかける可能性がある空き家のことを指します。
これにより、空き家問題を未然に防ぐための取り組みが強化されました。
自治体の新しい役割
◉ 管理が不十分な空き家を見つける
自治体は、空き家が適切に管理されているかを定期的にチェックし、管理が不十分な空き家を早期に発見します。
これにより、空き家が危険な状態になる前に対応を始められます。
◉ 所有者に早めに注意する
発見された「管理不全空家」の所有者には、「このままだと危険です。修繕や片付けを行ってください」と早めに伝えます。
これにより、所有者が空き家の管理に取り組むきっかけを作り、放置を防ぐことができます。
この新しいルールと自治体の取り組みによって、危険な空き家が増えるのを防ぎ、安全で住みやすい地域づくりを進めることが期待されています。
危険な空き家をすぐに片付けられる権限
もし、空き家が倒壊しそうだったり、周りに大きな迷惑をかけそうだったりしたら、自治体が代わりに片付けることができます。
今回の改正では、緊急時に手続きを省略してすぐに対応できるようになりました。
これによって
◉ 危険な空き家を素早く修理・撤去
これまで手続きに時間がかかっていたため、危険な状態の空き家が放置されるケースもありました。
改正後は、緊急時には手続きを省略し、すぐに修理や撤去が行えるようになりました。
これにより、危険な空き家を迅速に処理し、被害の拡大を防ぐことができます。
◉ 地域の安全を守る
災害時などに空き家が倒壊したり、部材が飛散して周辺住民に危険を及ぼすリスクを最小限に抑えます。
緊急時対応の仕組みによって、地域全体の安全性が高まり、住民の安心感も向上します。
この迅速な対応体制の整備により、空き家問題がさらに改善され、安全で暮らしやすい地域づくりが進むことが期待されています。
自治体の役割が大きくなった理由
空き家問題は、放置していると地域にとって危険や迷惑になるだけでなく、景観を悪くしたり、犯罪の温床になったりします。
だから自治体はこれまで以上に早く、確実に空き家問題に対応しなければならなくなりました。
まとめ
今回の法律改正により、空き家の管理責任が強化され、活用を促進する仕組みが整備されました。
これにより、空き家問題への対応がさらに進めやすくなります。
主な改正ポイントは以下の通りです。
◉ 空家等活用促進区域の創設
空き家を柔軟に活用できる区域を設けることで、空き家を地域活性化や新たな用途に生かす仕組みが導入されました。
◉ 管理不全空家の新設
管理が行き届いていない空き家を早期に特定し、必要な対応を取るための制度が整備されました。
◉ 固定資産税の特例解除
適切に管理されていない空き家については、固定資産税の特例が解除されるため、所有者に責任ある管理を促します。
◉ 緊急時の代執行制度の創設
災害時など緊急の場合、行政が迅速に対応できる仕組みが導入されました。
空き家を所有している方は、早めに対応することが重要です。
定期的な管理を行い、活用方法を検討することでトラブルを防ぐだけでなく、資産として生かすことが可能です。
必要に応じて専門家に相談し、適切な対策を進めましょう。