2023.10.01
空き家問題を解決する方法!具体的な対策を解説!
はじめに
空き家問題の現状と背景
日本は近年、増大する空き家問題に直面しています。国土交通省の調査によれば、日本全国の空き家数は800万戸を超え、全住宅の13%以上が空き家となっているという驚異的な数字を記録しています。
この状況は、単に都市部への人口集中によるものだけでなく、複数の要因が絡み合いながら生じています。
背景としては、第一に日本の急速な高齢化とともに、地方の過疎化が進行していることが挙げられます。
多くの若者が都市部の求人や機会を求めて移住し、地方は人口を失ってきました。
その結果、かつて賑わいを見せていた地域が静かになり、多くの家屋が放置されるようになりました。
第二に、相続に関する問題も無視できません。多くの空き家は、相続人間の意思決定が難しく、維持・管理の負担や相続税の問題から放置されてしまうケースが少なくありません。
さらに、昔の家屋の耐久性や機能性の問題、新しい家への憧れなど、新築志向も空き家増加の一因と考えられます。
このような背景を持つ空き家問題は、単なる住宅の問題を超え、地域社会の活性化や安全問題、さらには国全体の景観や文化をも左右する重要な課題となっています。
今後、この問題にどう取り組んでいくのか、国や地方自治体、そして私たち一人ひとりの役割が問われているのです。
空き家問題の原因
日本の空き家問題は、独特の社会的、経済的背景に根ざしています。
以下に、主な原因を詳しく紹介します。
1. 人口減少
日本の人口減少は、空き家増加の最も大きな要因の一つです。
高齢化が進む中、出生率の低下が続いており、これにより多くの家庭や地域で住居が過剰となっています。
特に地方では、高齢者が多く、次世代が不足するため、多くの家が使用されずに放置されています。
人口減少は、町の活気や地域コミュニティの衰退とも密接に関連しており、この流れを逆転するのは非常に難しい課題となっています。
2. 都市への人口集中
都市部、特に大都市圏におけるビジネスや教育の機会が増える中、多くの若者や家族が地方から都市部へと移住しています。
この動きは、地方の過疎化を加速させ、多くの家が使われなくなる原因となっています。
都市部では新しい住宅やマンションが次々と建設される一方、地方では適切な住宅需要がなく、多くの家が空き家となっています。
3. 相続税や管理費の問題
相続が発生した際、相続人が多数いるケースでは、その扱いについての合意が難しくなることがあります。
特に都市部での不動産の価値が高い場合、相続税の負担が大きくなることから、財産の売却や管理のための合意が取りにくくなります。
また、老朽化した家の修繕や維持費がかかるため、それを避けるために家を放置することも少なくありません。
4. 住宅供給過剰
過去数十年にわたり、日本の住宅供給は増加の一途を辿ってきました。
低金利政策や土地利用の自由化、住宅ローン減税などの政策が、新築住宅の供給を後押ししてきました。
結果として、実際の需要よりも多くの家が建設され、特に地方では供給過剰となっています。
さらに、日本の住宅文化は「新築志向」が強く、古い家よりも新しい家を好む傾向があり、これが空き家の増加を招いています。
空き家問題の影響
空き家問題は単なる家が使われていないという事象を超え、多岐にわたる深刻な影響をもたらしています。
以下に、その主要な影響を詳細に解説します。
1. 地域コミュニティの衰退
空き家が増加すると、その地域の人口密度が低下します。
活気が失われると、地域に密着した商店やサービス業も撤退や廃業を余儀なくされることが多くなります。
これにより、生活利便性が低下し、残された住民の生活環境も悪化します。
また、コミュニティの結束力が弱まると、地域の伝統や文化が失われる恐れも生じます。
2. 犯罪や火災のリスクの増加
放置された空き家は、不法侵入や窃盗、薬物取引の場として利用されることがあります。
また、老朽化した空き家は火災のリスクが高まり、近隣の家屋や住民にも影響を及ぼす可能性があります。
火災発生時、放置されている家は迅速な対応が難しく、大規模な被害を引き起こすことも考えられます。
3. 不動産価値の低下
多数の空き家が存在する地域では、その地域全体の不動産価値が低下する傾向があります。
新しい住民や事業者が進出する意欲が減少し、地域の活性化が難しくなるという負のスパイラルが生じることが多いです。
これは、既存の住民や土地所有者にとって、資産価値の減少や売却時の損失という形で具体的なダメージとなります。
4. 都市の風景・景観の悪化
放置された空き家や未利用の土地は、往々にして草木に覆われるか、老朽化して崩れ落ちることが多くなります。
これにより、地域の風景や景観が悪化し、観光資源としての価値も失われる可能性が高まります。
また、近隣住民の精神的なストレスや不快感を引き起こすことも考えられます。
空き家問題は、単に家が使われていないという単純な事象を超えて、社会的・経済的な深刻な影響をもたらしています。
これらの影響は、個々の住民や地域コミュニティ、さらには国全体の経済にも影響を及ぼす可能性があり、その解決は急募の課題となっています。
今後、これらの影響を最小限に抑えるための具体的な方策や取り組みが、各地域や国レベルで求められていくことでしょう。
空き家問題の将来
日本の空き家問題は年々深刻化しています。
数年前から、住宅の一部は空き家としてカウントされており、将来的にはその割合がさらに増加すると予測されています。
同時に、新しく建築される住宅の数は減少しています。
特に持ち家、分譲、賃貸の住宅の新築数が減っており、この傾向が続けば大きな社会問題となり得ます。
この背景として、大工の数も減ってきており、彼らの生産性を上げる必要があるとされています。
驚くことに、新築住宅が減少している中で、空き家の数や率は増加の一途をたどっています。
近年の調査によると、空き家の割合が徐々に増加していることが示されています。
ただ、過去の予測と現実の数値には少し乖離があるため、将来の空き家率の増加を正確に予測するのは難しいかもしれません。
しかし、空き家問題が進行するのは間違いないと考えられます。
具体的な対策:空き家問題への取り組み
空き家問題は、社会全体の取り組みを必要とする深刻な課題です。その解決に向けて、以下の具体的な対策が考えられます。
1. 空き家バンクの導入や活用
空き家バンクは、空き家の情報を集約し、新たな利用者とオーナーを結びつけるための制度です。
自治体が中心となって運営され、空き家の情報提供や利用希望者への情報提供を行います。これにより、空き家の有効活用が進められるだけでなく、地域の再生や活性化にも寄与することが期待されます。
2. 住宅再生やリフォームの奨励
老朽化した空き家でも、適切なリフォームや修繕を行えば再利用が可能です。
政府や自治体は、リフォームに関する補助金や税制優遇を導入し、オーナーの再利用意欲を喚起するべきです。
また、リフォーム業界の技術向上や人材育成も同時に進めることで、質の高い住宅再生が実現されるでしょう。
3. 地域への移住・Uターン支援
地方の過疎化は、空き家増加の大きな要因の一つです。
この問題を解決するためには、都市部から地方への移住やUターンを促進する取り組みが必要です。
具体的には、移住者やUターン者への住宅補助、就業機会の提供、子育てや教育に関するサポートなど、さまざまな施策を組み合わせて進めるべきです。
4.「空家特措法」の導入
政府は空き家が増える問題を真剣に受け止めて、2015年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を作りました。
この法律は5年ごとに内容を見直すことが決められており、2021年には新しいガイドラインが出されました。
この法律の主な内容は、以下の通りです。
- 空き家を調査する。
- 空き家の所有者を特定するための情報を使う。
- 空き家やその土地を有効に使うための方法を考える。
- 空き家の問題を解決するためのお金や税金のサポートをする。
- 管理が不適切な空き家を「特定空家」として指定する。
- そのような空き家に対して、改善や撤去、木の伐採などを勧めたり、指示したりする。
始めのうちは、所有者に対してアドバイスや指導が行われます。
しかし、そのアドバイスを受けても何も改善しない場合、税金の特典がなくなったり、最終的には政府が直接手を打つことも考えられます。
5. 税制の見直しや補助金制度の導入
空き家を持つ方にとって、税制や補助金は大きな動機づけとなる要因です。
たとえば、空き家を貸し出しや売却することでの税制優遇、空き家の解体やリフォームに関する補助金の提供などが考えられます。
これにより、空き家を持つ方々が積極的に空き家問題の解決に取り組むことが期待されます。
空き家の固定資産税
ここでは、空き家の固定資産税について簡単に説明します。
誰が払うの?
空き家の税金は、所有者が払います。
年の初め、1月1日の時点で誰が所有者かが重要です。もし、その日の所有者が亡くなっていたら、相続してきた人が税金を払う必要があります。
途中で家を売買した場合、売った人と買った人で、いくらずつ税金を払うかを話し合います。
税金を払わなかったらどうなる?
期限を過ぎても税金を払わないと、追加でお金(延滞金)がかかります。
そして、どれだけ長く払わなかったかによって、その金額は増えます。
ずっと払わないと、最後には貯金や車、家などの財産を取られることもあります。
税金が払えない時は、早めに市役所や町役所に相談に行くと、分割で払えるように手伝ってくれることも。
要するに、空き家の税金はきちんと払わないと困ることが起こるかもしれませんが、困った時は早めに相談すれば解決の糸口が見つかるかもしれません。
まとめ
空き家問題の解決は、一つの対策だけでは難しく、複数の取り組みを組み合わせて進めることが求められます。
政府や自治体、地域コミュニティ、オーナーや利用者、そして関連する産業など、多岐に連携し、総合的な対策を推進することが必要です。
その結果、空き家問題が地域の再生や活性化の契機となることを期待したいと思います。