2025.12.22
将来の資産形成を見据えたマイホーム選び|売却しやすい物件の特徴とは
マイホーム購入は人生最大の買い物です。かつては「一生住み続ける場所」として選ばれてきましたが、人生100年時代の今、ライフステージの変化に伴い「住み替え」を視野に入れた選択がとても重要になりました。
結婚、出産、転勤、親の介護など、人生には様々な転機があります。その時々に最適な住まいへの住み替えが必要になることも少なくありません。そして重要なのは、購入した物件を売却する際に「いかに資産価値を保つか」ということです。同じ購入価格でも、売却時の査定額は物件の条件次第で大きく異なります。
売却しやすく、資産価値を保ちやすい物件の特徴をご紹介します。マイホーム選びで後悔しないために、購入時点から意識しておきたいポイントを確認しましょう。
なぜ「売却」を意識した選び方が重要か
時代は変わりました。不動産市場の変化、人口動態の変化、そして人生設計の多様化により、「購入から売却まで」を視野に入れたマイホーム選びが大切になったのです。
購入時に2,000万円で買った物件が、30年後に500万円でしか売れないとしたら、資産価値は大きく減少しています。一方、当初2,000万円で購入した物件が、30年後でも1,800万円で売却できるとしたら、資産としての価値は高いままです。つまり「いかに値下がりしにくい物件を選ぶか」が、長期的な資産形成に大きな影響を与えるのです。
売却しやすい物件の4つの条件
1. 立地が優れている
最も重要な要素は立地です。駅から徒歩10分以内、スーパーマーケットや学校が近い、公園がある…このような利便性の高い場所の物件は常に需要があります。立地は変えられない要素であり、時間経過による価値低下が他の要素より緩やかです。
都心部や主要駅周辺の物件は、たとえ築年数が経過していても、周辺地域の再開発やインフラ整備により資産価値が上昇する可能性さえあります。購入前には必ず市区町村の地域開発計画を確認することをお勧めします。
2. 間取りが「万人向け」である
2LDK~3LDKの標準的な間取りは、ファミリーから単身者、投資家まで幅広い層に選ばれます。南向きで日当たりが良い、リビングが十分に広いなど基本的な居住性の高さが重要です。
一方、1LDKや5LDK以上など特殊な間取りの物件は、購入希望者が限定されてしまいます。結果として、売却時に希望する価格での売却が難しくなったり、売却に時間がかかったりする傾向があります。
3. 築浅であるか、適切にメンテナンスされている
築20年以内の物件は、大規模修繕工事の時期がまだ先にあるため購入希望者に敬遠されにくいです。築年数が進む物件でも、定期的な外壁塗装、設備更新、水回りのリフォームなど、適切なメンテナンス履歴がある物件は高く評価されます。
重要なのは、メンテナンスの記録を残しておくことです。「いつ、何を、どこにメンテナンスしたか」という履歴が明確にあれば、売却時の査定でプラス評価につながります。
4. 災害リスクが低い
近年の自然災害の増加に伴い、購入希望者は「この物件はどの程度の災害リスクがあるのか」を確認するようになりました。浸水被害の危険性が低い、地盤が堅い、津波や土砂災害の警戒区域外の物件は常に需要があります。
購入時には、各市区町村が公開しているハザードマップを必ず確認してください。さらに建物台帳を取得し、建ぺい率・容積率に余裕がある、法的制限が少ない物件ほど将来の活用選択肢が広がり、売却時の評価が高くなります。
購入時に注意すべき3つのポイント
流行に惑わされず、基本に立ち返る
「吹き抜けのリビング」「オープンキッチン」「モダンな外観」…確かに魅力的です。しかし流行は必ず時間とともに変わります。マイホーム選びで最優先すべきは、基本的な居住性と立地の優位性です。変わらない価値を重視することが、長期的な資産価値の維持につながるのです。
必ず複数の不動産会社から査定を取る
購入時の価格設定が、その物件の資産価値を大きく左右します。相場より高い価格で購入してしまうと、売却時に損失を被る可能性が高くなります。必ず複数の不動産会社に査定を依頼し、市場相場を正確に把握してから購入判断を下してください。
購入後の定期的なメンテナンスが鍵
購入後の資産価値の維持には、定期的なメンテナンスが不可欠です。一戸建てで年間10~20万円程度、外壁塗装は10年ごとに100~150万円程度、屋根工事は15~20年ごとに80~120万円程度が目安となります。これらを見込んだ資金計画が、長期的な資産形成に不可欠なのです。
よくあるご質問
築30年の物件は売却できませんか?
築年数が古い物件でも、立地が優れており適切にメンテナンスされていれば、売却は十分可能です。むしろ、「解体・建替え目的」の買い手など新たな需要層が生まれることもあります。ただし査定額は低くなる傾向があるため、購入時点での価格を抑える必要があります。
新築と中古、資産価値を保ちやすいのはどちらですか?
新築物件は購入直後に「新築プレミアム」が剥がれ、短期間で大きく値下がりします。中古物件は既にプレミアムが剥がれているため、その後の値下がりは比較的緩やかです。重要なのは「新築か中古か」ではなく、立地、間取り、メンテナンス状況といった物件そのものの本質的な条件です。
マイホーム選びで後悔しないために
売却しやすい物件の条件は、実は「誰もが住みたいと思う物件の条件」と完全に重なっています。立地、間取り、メンテナンス状態、安全性──これらを優先した選択をすることで、現在も快適に、将来も安心して資産を守ることができます。
購入は感情的な判断になりやすいものです。しかし「誰もが欲しい物件か」という客観的な観点から冷静に検討することが、長期的な資産形成の秘訣なのです。不動産会社の専門家に相談し、客観的なアドバイスを受けながら、理想のマイホーム選びを進めてください。
※本記事の情報は一般的な目安です。詳細は不動産会社にご確認ください。